○広陵町中小企業・小規模企業振興基本条例

平成30年9月21日

条例第6号

広陵町は、奈良盆地のほぼ中央に位置し、大都市である大阪市へ直線距離で約30kmで、交通の利便性も高いことから、真美ヶ丘地区等の住宅地開発を中心にベッドタウンとして発展しており、奈良県で最も人口の多い町となっている。

本町では、町民と行政が連携して、みどり豊かな住みよい元気なまちづくりに取り組んでおり、その成果として多くの町民がまちに愛着を感じ、今後も住み続けたいと思う魅力あるまちとなっている。しかしながら本町を取り巻く社会情勢は確実に変化しており、少子高齢化の影響により、生産年齢人口の減少が顕著化している。

また、本町の産業は、古くから靴下の生産が盛んで、靴下製造業を中心に、靴下仕上や刺繍業など靴下生産工程別に分業が進み、高度な生産技術が受け継がれ、国内生産高日本一を誇る産地として大きく成長してきたところである。近年は、海外製品に押され、生産量は大幅に低下し、靴下関連事業所数は減少しているが、長年に渡り脈々と引き継がれた生産技術を活かした魅力ある靴下を発信する企業は、今でも数多く存在する。他の産業としては、プラスチック製造業、小売業、サービス業、農業等もあるが、近年の高齢化に伴い福祉関連事業が増加している。

中小企業・小規模企業は、雇用を確保し、町民生活の向上など地域経済の振興や活性化のための担い手として、自社の経営基盤を自主的な努力で強化し、社会的責任を果たす役割が求められている。しかし、社会環境が大きく変化している中、販路開拓、設備投資、人材確保など解決しなければならない経営課題が多くある。

そこで本町は、「元気なまちづくり」を進めるためには、産業振興が重要な課題と位置づけ、町、事業者、中小企業関係団体等、学校、金融機関及び町民と中小企業・小規模企業振興について理解と共感に基づく協力関係を深め、「住みやすく」「働きやすく」「商売しやすい」環境整備を推進し、広陵町を活性化させるべく基本的な理念と方向性を示し、中小企業・小規模企業の振興を図るために、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、広陵町の発展に果たす中小企業・小規模企業の役割の重要性に鑑み、町内中小企業及び小規模企業の振興について基本となる事項を定め、その振興に関する総合的な施策を推進するとともに、町、事業者、中小企業関係団体等、金融機関及び学校が、それぞれの役割等について相互理解を深め連携することにより、振興施策を総合的に推進し、もって町民生活の向上を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。

(1) 中小企業 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に定める中小企業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業 小規模企業振興基本法(平成26年法律第94号)第2条に定める小規模企業者の事業所及び個人であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 大企業 中小企業及び小規模企業以外の事業を営むものをいう。

(4) 事業者 中小企業、小規模企業及び大企業をいう。

(5) 中小企業関係団体等 商工会法(昭和35年法律第89号)に基づく商工会、中小企業家同友会その他の中小企業の振興を目的とする団体をいう。

(6) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校及び同法第124条に規定する専修学校であって、奈良県内に所在するものをいう。

(7) 町民 町内に居住し又は滞在(通勤又は通学を含む。)する者及び町内で事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(8) 産学官連携 中小企業・小規模企業、学校、町等が、その合意に基づき相互に連携することをいう。

(基本理念)

第3条 中小企業・小規模企業の振興は、次の各号に掲げる基本理念に基づくものとする。

(1) 国、奈良県、事業者、中小企業関係団体等、学校、金融機関及び町が、中小企業・小規模企業の果たす役割の重要性を理解し、連携・協力により推進するものとする。

(2) 町内のがんばる中小企業・小規模企業を支援することにより推進するものとする。

(基本方針)

第4条 町は、この条例の目的を達成するために、前条の基本理念に基づき、次に掲げる施策を行うものとする。

(1) 次世代産業の担い手づくりのための施策

(2) 各産業の連携と支え合いづくりのための施策

(3) 働く場づくり、仕事づくりのための施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、必要とされる産業振興施策

(町の責務)

第5条 町は、前条の基本方針を総合的かつ計画的に推進するため、必要な調査及び研究を行い、社会情勢に応じた必要な施策や支援又は効果的かつ効率的な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。

2 町は、振興施策を実施するに当たっては、国、奈良県、その他の地方公共団体、事業者、中小企業関係団体等、学校、金融機関及び町民と協働し、効果的に実施するよう努めるものとする。

3 町は、工事の発注又は物品若しくは役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、町内中小企業及び小規模企業の受注機会の増大に努めるものとする。

4 町は、中小企業及び小規模企業の事業展開に必要な人材の確保及び育成を図るため、就業の支援、職業能力の開発、その他必要な施策を講ずるものとする。

5 町は、学校教育における職業観及び勤労観の醸成が中小企業・小規模企業の人材の確保及び育成に資することに鑑み、児童、生徒及び学生に対する職業に関する体験の機会の提供、その他の必要な施策を講ずるものとする。

(中小企業・小規模企業の役割)

第6条 中小企業・小規模企業は、次の各号に掲げる事項に積極的に取り組むよう努めるものとする。

(1) 経済的社会環境の変化に対応して、自主的な努力により経営基盤を強化すること。

(2) 従業員が生きがいと働きがいを得ることのできる職場づくりに取り組むこと。

(3) 地域社会の重要な一員として、その社会的責任を自覚し、地域社会及び町民生活の向上に貢献すること。

(4) 町、中小企業団体等その他の者が実施する中小企業の振興に関する施策及び事業に協力すること。

(5) 町内における他の事業者及び中小企業関係団体等との連携を行い、町内において生産、製造、加工される製品及び町内において提供される役務に利用すること。

(6) 学校等の職場体験活動その他職業に関する健全な職業観の育成につながる活動に協力すること。

(中小企業関係団体等の役割)

第7条 中小企業関係団体等は、中小企業・小規模企業の経営の向上及び改善に積極的に取り組むとともに、町が実施する中小企業振興策に協力するよう努めるものとする。

(大企業の役割)

第8条 大企業は、中小企業・小規模企業の振興が本町経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、中小企業・小規模企業との連携を図るとともに、町が実施する中小企業・小規模企業振興策に協力するよう努めるものとする。

2 大企業は、町内における中小企業・小規模企業及び中小企業関係団体等との連携に努めるとともに、町内おいて生産、製造、加工される製品並びに町内において提供される役務の利用に努めるものとする。

3 大企業は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業とともに、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるとともに、自然環境との調和に十分配慮するものとする。

(金融機関の協力)

第9条 金融機関は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業が自主的に経営基盤の強化に取り組むことが出来るよう円滑な資金の供給、経営相談、販路拡大の支援等を行い、中小企業・小規模企業の育成及び発展に努めるものとする。

2 金融機関は、中小企業・小規模企業の振興が本町経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、町、中小企業関係団体等その他の者が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策及び事業に協力するよう努めるものとする。

3 地域密着型金融を推進する金融機関は、前2項に規定する協力を積極的に行うものとする。

(学校の自主的な協力)

第10条 学校は、産学官連携等によって、自主的に、新産業の創出及び専門的技術を有する人材の育成並びにこれらの研究に努めるものとする。

2 学校は、児童、生徒及び学生に対し、中小企業・小規模企業と協働し、職場体験活動その他職業に関する理解を深める学習等を通じて地域の次世代を担う人材の育成に協力するよう努めるものとする。

3 前2項の規定による協力は、学校その他の教育機関に関係する者の自由かつ自律的な意思に基づいて行われるものとする。

(町民の理解と協力)

第11条 町民は、中小企業・小規模企業の振興が町民生活の安定及び向上並びに地域社会の活性化に資する役割を理解し、中小企業・小規模企業の健全な発展及び育成に協力するよう努めるものとする。

2 町民は、消費者として町内において生産、製造、加工される製品の購買や消費、奈良県内及び町内において提供される役務の利用に努めるものとする。

(中小企業・小規模企業振興計画)

第12条 町長は、基本方針に基づき、中小企業・小規模企業振興計画(以下「振興計画」という。)を策定するものとする。

2 振興計画には、中小企業・小規模企業の振興を総合的かつ戦略的に行うための目標、施策その他必要な事項を定めるものとする。

3 町長は、振興計画の策定に当たっては、次条の振興会議を中心として、中小企業・小規模企業その他の関係者の意見を反映するための必要な措置を講ずるものとする。

4 町長は、振興計画を策定したときは、速やかにこれを公表し、周知するものとする。

5 町長は、中小企業をとりまく環境の変化を勘案し、及び振興計画の実施状況を調査・分析し、おおむね5年ごとに振興計画を検証し、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。

6 第3項及び第4項の規定は、前項の規定による振興計画の変更について準用する。

(振興会議)

第13条 この条例の目的の達成のため、中小企業、小規模企業、中小企業関係団体等、学識経験者、金融機関、学校等教育機関、消費者その他の多様な構成員により、広陵町中小企業・小規模企業振興会議(以下「振興会議」という。)を設置する。

2 振興会議は、次に掲げる事項に取り組むものとする。

(1) 振興計画について必要な政策提言を行うこと。

(2) 振興計画に基づく振興施策について意見を述べること。

(3) 振興施策について、検証を行うこと。

(4) 前3号に掲げるもののほか、必要な調査及び研究を行うこと。

3 振興会議には、必要に応じて課題別小委員会を設置することができる。

4 町長は、振興会議において、振興施策の実施状況を報告するものとする。

5 前各項に定めるもののほか、振興会議の組織及び運営に関して必要な事項は、町長が定める。

(規則への委任)

第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成30年10月1日から施行する。

(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年10月広陵町条例第30号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

広陵町中小企業・小規模企業振興基本条例

平成30年9月21日 条例第6号

(平成30年10月1日施行)