○広陵町自治基本条例

令和3年5月27日

条例第1号

目次

前文

第1章 総則及び基本理念、基本原則(第1条―第4条)

第2章 町民の権利と役割、責務(第5条―第8条)

第3章 情報の公開と共有(第9条・第10条)

第4章 参加、参画と協働(第11条・第12条)

第5章 地域自治活動と町民公益活動(第13条―第18条)

第6章 文化及び生涯学習のまちづくり(第19条・第20条)

第7章 町議会並びに町長及び町職員の役割と責務(第21条―第24条)

第8章 行政経営(第25条―第35条)

第9章 住民投票(第36条)

第10章 連携(第37条)

第11章 条例の位置付け、見直し(第38条―第40条)

附則

わたしたちのまち広陵町は、奈良盆地の中西部に位置し、豊かな自然と大都市大阪に近接する特性から、『ほどよく都会、ほどよく田舎』の住環境に恵まれたまち、靴下産業やプラスチック産業のまち、竹取物語の舞台として知られる讃岐神社のほか、国の特別史跡である巣山古墳や国の重要文化財である百済寺など歴史ロマンあふれるまちとして発展してきました。また、新旧まちづくりが融合し、人々が支え合い、助け合える優しさがあふれるまちを育んできました。

一方で、少子高齢化やIT化など、社会構造及び経済情勢の変化により、住民自治及び団体自治の在り方が問われています。わたしたちは、輝く未来に向かって、住民と行政の協働のまちづくりを実践し、広陵町町民憲章を尊重するとともに、子どもや若者が住み続けられる持続可能な地域社会を形成する必要があります。そのためには、このまちに暮らし集い、共に学び働いていることを誇りに感じながら、人々が対話を重ね、合意形成に向けて熟議することが重要となります。

これからも、先人が築き息づく地域の歴史文化、公園や田園風景などのみどり豊かな環境との調和を図るとともに、町民、町議会、行政が各々の役割を果たし、お互いに補い合いつつ、協力してまちづくりを進め、次世代へ引き継いでいかなければなりません。

わたしたちは、広陵町のまちづくりの理念を明らかにし、参画と協働を基本に、この町に関係する全ての人が主体になるまちづくりの実現を目指すものとして、ここに広陵町自治基本条例を制定します。

第1章 総則及び基本理念、基本原則

(目的)

第1条 この条例は、広陵町における自治の基本理念とまちづくりの基本原則を明らかにし、町民及び町のそれぞれの権利や役割、責務、まちづくりに関する基本的な事項を定めることにより、個性豊かで活力ある自立した持続可能な社会の実現及び町民の福祉の向上と充実を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 町民 町内に居住する者並びに町内で働く者、学ぶ者、事業を営むもの及び町の公益や発展のために活動するものをいう。

(2) 町長等 執行機関としての町長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。

(3) 町 町議会及び町長等をいう。

(4) 参画 町の施策や事業等の計画、実施及び評価等のまちづくりの過程に、町民が主体的に関わることをいう。

(5) 協働 町民、町議会及び町長等が、それぞれの役割と責任を自覚し、互いの自主性を尊重しつつ対等な立場で連携、協力しながらまちづくりに取り組むことをいう。

(6) まちづくり 時代に沿った、住みよく持続可能な地域社会をつくるための取組をいう。

(基本理念)

第3条 町民及び町は、次に掲げる基本理念により自治及びまちづくりを推進する。

(1) 町民一人一人の基本的人権が守られ、多様性を認め合いながら、子どもから高齢者まで、性別、国籍、民族、障がいの有無その他の属性にかかわらず、安全かつ安心して暮らすことができるまちをつくること。

(2) 町民、町議会、町長等が、また国及び県と町が、対等な立場でそれぞれの役割を担いながら連携し、協働して、公正で自立した町政を行うまちをつくること。

(3) 町民及び町は、まちの歴史や自然を大切にし、環境との共生を図るため、次世代に引き継ぐことのできるまちをつくること。

(4) 町民が情報を共有し、町内外の交流を図りながら、人と人とのつながりを大切にし、自発的に助け合い、支え合うまちをつくること。

(基本原則)

第4条 町民及び町は、次に掲げる事項を基本原則として、自治及びまちづくりを推進する。

(1) 参画と協働の原則 町民は自治の主体として、町政に参画するとともに、公共的課題の解決に当たっては熟議の上、町民及び町が協働して取り組むこと。

(2) 補完性の原則 まちづくりの決定はより身近なところから協議や実践を行い、それぞれの適切な役割分担により、補完すること。

(3) 情報共有の原則 町が持つ町政情報及び町民が持つ公益情報が公開され、町民同士又は町と町民は、まちづくりに必要な情報の共有を行うとともに、町は、町民への説明責任、応答責任を果たすこと。

(4) 健全な行政経営の原則 町は、計画と検証及び評価に基づいた町民に寄り添った合理的で健全な行政経営を行うとともに、地域の特性と自主性を尊重した住民自治を推進すること。

(5) 環境保全の原則 先人が築き、継承してきた歴史、文化及び自然等の環境を次世代に残せるまちづくりを推進すること。

(6) 多様性尊重の原則 町民の多様な属性や文化を尊重したまちづくりを進めること。

第2章 町民の権利と役割、責務

(町民の権利)

第5条 町民は、まちづくりの主体であり、町政やまちづくりに参画する権利を有する。

2 町民は、まちづくりの活動への参加又は不参加を理由として差別的な取扱いを受けない。

(町民の役割と責務)

第6条 町民は、自らがまちづくりの主体であることを自覚するとともに、互いの活動を尊重し、認め合いながら自らの発言と行動に責任を持って積極的にまちづくりに参画するよう努めなければならない。

2 町民は、まちづくりへの参画に当たっては、公共の福祉、将来世代の利益、地域の発展及び環境の保全に配慮しなければならない。

3 町民は、町と協働し、連携し合いながら、安全かつ安心して豊かに暮らせるまちづくりに取り組むよう努めなければならない。

(子どもの権利)

第7条 子ども(18歳未満の町民をいう。以下同じ。)は、地域社会の一員として尊重され、健やかに育つ権利を有し、それぞれの年齢に応じてまちづくりに参加することができる。

2 町民及び町は、子どもがまちづくりに参加する機会の充実に努めなければならない。

3 町民及び町は、子どもが健やかに育ち、ふるさとを大切に思える環境づくりに努めなければならない。

(事業者の役割と責務)

第8条 事業者は、地域社会を支え、構成する一員としての社会的な責務を自覚し、地域社会との調和を図り、まちづくりの推進に寄与するよう努めるものとする。

2 事業者は、事業活動を行うに当たり、環境の保全に配慮するよう努めなければならない。

第3章 情報の公開と共有

(情報の公開と共有)

第9条 町は、公正で開かれた町政を推進するため、別に条例で定めるところにより、町民の情報の開示を請求する権利を明らかにし、町政に関する情報を原則として公開しなければならない。

2 町は、町民が必要とする情報を積極的かつ効果的に提供するものとする。

3 町は、前項の規定による情報の提供に当たっては、広報紙、町ホームページ等を積極的に活用し、分かりやすく、かつ、入手しやすい方法で町民に提供するものとする。

4 町民及び町は、互いに自らの活動内容に係る情報の共有に努めるものとする。

(個人情報保護)

第10条 町は、町民の権利利益を守るため、別に条例で定めるところにより、個人情報の保護を厳正に行うとともに、自己に係る個人情報の開示、訂正等を請求する町民の権利に対して適切な措置を講じなければならない。

2 個人情報の取扱いについては、前項の条例の規定を適切に解釈及び運用するとともに、人の生命、身体又は財産を保護するために必要な情報を関係者間で共有するよう努めなければならない。

3 町長は、災害対応及び福祉に関わる公益目的の諸活動を行う場合には、法令等の規定に基づき、個人情報を一定の手続を経て団体等に提供することができるものとする。

第4章 参加、参画と協働

(参加、参画と協働のまちづくり)

第11条 町は、町民の自主性を尊重しながら、参加、参画と協働のまちづくりを推進しなければならない。

2 町民及び町は、相互に協働しようとするときは、対等な関係を維持し、目的や役割分担を明らかにした上で過程を大切にしながら相互理解及び信頼関係の構築に努めなければならない。

(参加、参画と協働の制度)

第12条 町は、町政に関する重要な計画並びに条例等の制定改廃、政策の立案、実施、評価及び見直しの各段階において、継続的かつ多様な手段で、町民の参加や参画を図るものとする。

2 町は、計画等の制定や見直しに当たっては、適切な時期に分かりやすく情報を公開し、町民の意見を募るものとする。

3 町は、前2項の場合において高齢者や障がいのある人等あらゆる町民に参画の機会を保障するよう努めなければならない。

4 町は、審議会等の委員を選任する場合は、地域、年齢、性別、国籍等の均衡に配慮するとともに、町民から委員を公募するよう努めなければならない。

5 町は、審議会等の会議について、法令等の定めのあるもの及び個人情報に係るものを除き、原則として、公開するとともに、開催情報、会議の記録等を公表するものとする。

6 町長は、公共的な課題の解決や公共的サービスの提供等において、多様な主体がその担い手となれるよう必要な措置を講じるとともに、町民同士又は町民及び町が協働して取り組む機会の拡充に努めなければならない。

7 町民及び町は、まちづくりに関する自由な意見交換や熟議が行える場や機会を設定し、町民同士又は町民及び町が学びあい、交流や連携を促進する機会をつくるよう努めるものとする。

第5章 地域自治活動と町民公益活動

(住民自治)

第13条 住民自治とは、共同体意識の形成が可能な一定の地域において、町民が積極的に地域課題に取り組み、町民が主役となったまちづくりを行う活動をいう。

2 住民自治の主体は、基礎的コミュニティ(区及び自治会をいう。以下同じ。)をはじめ、ボランティア団体やNPO等の町民公益活動団体、事業者のほか、まちづくりに参加する個人など多様な主体を指す。

(住民自治の原則)

第14条 町民は、住民自治活動の重要性を認識し、自ら住民自治活動に参加するよう努めなければならない。

2 町民は、住民自治活動を行う団体等を支援するよう努めなければならない。

3 町長は、自主的な住民自治活動の役割を認識し、その活動に対して支援、その他必要な措置を講じるものとする。

(基礎的コミュニティ)

第15条 町民は、地域のなかで安心して暮らし続けることができるよう、自主的に基礎的コミュニティの活動に参加し、助け合うとともに、地域課題の解決に向けて協力して行動するものとする。

2 町民は、当該基礎的コミュニティへの加入に努めるものとする。

3 町長は、基礎的コミュニティの果たす役割を認識し、また自主性及び自律性を尊重し、その活動に対して支援、その他の必要な措置を講じるものとする。

4 基礎的コミュニティは、役割と責任を自覚し、地域自治団体の主たる担い手として、まちづくりに参画するよう努めるものとする。

(まちづくり協議会)

第16条 町民は、地域が目指す将来像を自ら描き、その実現に向け主体的に取り組むために、別に定める区域を単位とする地域内において、多様な主体で構成される地域自治団体(以下「まちづくり協議会」という。)を、一の区域において一に限り設置することができる。

2 まちづくり協議会は、自らの活動に町及びその他の団体と連携しながら地域の諸課題の解決に向けた地域自治活動を行うものとし、当該地域の全ての住民及び基礎的コミュニティ並びにその他の団体を構成員とする。

3 町は、まちづくり協議会の役割を認識し尊重するとともに、その活動に対して地域特性を勘案した支援等必要な措置を講じるものとする。

4 町長は、まちづくり協議会との協議の上、事業の一部をまちづくり協議会に委ねることができる。この場合において、町は、その実施に係る経費等について必要な措置を講じるものとする。

5 まちづくり協議会に関し必要な事項は、町長が定める。

第17条 まちづくり協議会は、自らの活動に責任を持って主体的に住民自治を推進し、豊かな地域社会の実現に取り組むものとする。

2 まちづくり協議会は、透明で民主的な運営を行うための規約や組織を構成しなければならない。

3 まちづくり協議会は、地域のまちづくりの目標、自らが取り組む活動方針、内容等を定めた地域づくり計画を策定することができる。

4 町民は、地域社会の一員として自主的かつ主体的にまちづくり協議会に参加し、相互の交流を深めながら地域課題の解決に向けて協働するよう努めるものとする。

(まちづくり活動への支援・町民公益活動)

第18条 町民は、社会的課題の解決やまちづくりのために、自発的かつ自主的な意思に基づく非営利で公益的な活動(以下「町民公益活動」という。)に関心を持ち役割を理解するように努めるものとする。

2 町民は、自ら町民公益活動を行う団体(以下「町民公益活動団体」という。)を形成し、又は参加することができる。

3 町民公益活動団体は、多様な主体と積極的に協働して社会的課題の解決やまちづくりのために活動するよう努めるものとする。

4 町長は、町民公益活動団体の役割と主体性を尊重するとともに、その活動を促進するための必要な措置を講じるものとする。

第6章 文化及び生涯学習のまちづくり

(文化のまちづくり)

第19条 町は、文化芸術スポーツ活動について、年齢、性別、国籍、民族、障がいの有無その他の属性にかかわらず、町民一人一人が文化芸術スポーツ活動の根付く生活を営むことができる地域社会を実現するための環境整備に努めなければならない。

2 町民及び町は、文化財の重要性を認識し、その保護に努め、先人が守り育て培ってきた伝統文化を継承するよう努めなければならない。

3 文化芸術スポーツに関し必要な事項は、町長が定める。

(生涯学習のまちづくり)

第20条 町民は、豊かな人間性を育むとともに、町政やまちづくりに参画するための知識や考え方を学ぶため、性別、国籍、民族、障がいの有無その他の属性にかかわらず、生涯にわたって学習する権利を有する。

2 町長等は、町民の参画と協働を推進し、自律的なまちづくりを支援するための学習機会を提供するとともに、その活動に対して支援、その他必要な措置を講じるものとする。

3 町民及び町は、学習した成果をまちづくりに生かせるよう努めるものとする。

第7章 町議会並びに町長及び町職員の役割と責務

(町議会の役割と責務)

第21条 町議会は、法令の定めるところにより、町民の負託に基づき選ばれた町議会議員によって構成される町の重要事項を議決する広陵町の意思決定機関であり、この条例の趣旨に基づき、その権限を行使しなければならない。

2 町議会は、町民の意思が町政に適正に反映されているかどうかを監視し、及び評価する権限を有する。

3 町議会は、法令の定めるところにより、条例の制定改廃、予算、決算の認定等を議決する権限並びに執行機関に関する検査及び監査の請求等の権限並びに町政に関する調査及び国又は関係機関に意見書を提出する等の権限を有する。

4 町議会は、その権限を行使することにより、広陵町の自治の発展及び町民の福祉の向上に努めなければならない。

5 町議会は、町民との情報共有を図り、原則として全ての会議を公開する等、開かれた議会運営に努めなければならない。

6 町議会の会議は、討論を基本とし、議決に当たっては意思決定の過程及びその妥当性を町民に明らかにしなければならない。

7 町議会は、会期外においても、町政への町民の意思の反映を図るため、町の施策の検討、調査等の活動を行うとともに、町民との対話の機会を設けなければならない。

8 町議会の組織、活動等の基本事項に関しては、別に定める。

(町議会議員の役割と責務)

第22条 町議会議員は、町民の負託に応え、高い倫理性のもと、公正かつ誠実に職務を遂行するとともに、一部団体及び地域の代表にとどまらず、常に町民全体の福祉の向上を念頭に置き行動しなければならない。

2 町議会議員は、町議会の責務を遂行するため、町政の課題全般について町民の意見を明確に把握するとともに、常に自己の見識を高めるための研さんを怠らず、審議能力及び政策立案能力の向上に努めなければならない。

(町長の役割と責務)

第23条 町長は、町の代表者として、町民の負託に応え、町民全体の福祉の向上及び持続可能な地域社会の形成を目指し、住民自治を基本とするとともに、他の執行機関と連携し、公正かつ誠実に町政運営を行わなければならない。

2 町長は、広陵町の現状や課題を的確に把握し、長期的な将来像を町民に示すとともに、具体的施策により課題解決を図らなければならない。

3 町長は、施策の執行に当たっては、町民及び町議会への説明責任を果たすとともに、この条例の趣旨に基づき、町政運営を通じて自治の実現、町民主体のまちづくりの推進に努めなければならない。

4 町長は、前3項の責務を果たすため、効率的かつ効果的な行政経営に努めるとともに、町職員の育成及び能力の向上を図り、町民のための施策の遂行に努めなければならない。

(町職員の役割と責務)

第24条 町職員は、町民全体のために働く者として法令等を遵守し、効率的で公正かつ誠実に、その職務を遂行しなければならない。

2 町職員は、その職務を遂行するに当たって創意工夫を行い、町民に対して丁寧で分かりやすい説明に努めなければならない。

3 町職員は、その職務の遂行に必要な知識、技能等の向上を目指し、研修に積極的に参加する等研さんに努めなければならない。

4 町職員は、町民の一員としての自覚を持ち、地域のまちづくり等に参画し、地域課題の把握及び解決に努めなければならない。

第8章 行政経営

(総合計画)

第25条 町長は、この条例で定める基本理念及び基本原則に基づき、町の最上位計画となる総合計画を策定するものとする。

2 町長は、個別計画を策定するときは、総合計画との整合性を図らなければならない。

3 町長は、総合計画について町民の参画を図り、その進行管理を適正に行うとともに、社会情勢に十分配慮し、必要に応じて見直しを図らなければならない。

(行政組織)

第26条 町は、社会情勢の変化に柔軟に対応し、機能的かつ効率的な組織を整備するとともに、組織の横断的な調整に努めなければならない。

2 町長は、組織及び町職員の能力が最大限に発揮できるよう、町職員の適切な任用及び適材適所の人材配置に努めなければならない。

(財政運営)

第27条 町長は、予算の編成及び執行に当たっては、財源を効率的かつ効果的に活用し、最少の経費で最大の効果をあげられるよう努めなければならない。

2 町長は、町民が予算及び決算を具体的に把握できるよう公表しなければならない。

3 町長は、社会経済情勢の動向を踏まえ、中長期的な財政見通しを作成し、公表するものとする。

(政策法務)

第28条 町は、地域課題に対応し、町民主体のまちづくりを実現するため、自治立法及び法令解釈に関する自治権を積極的に活用しなければならない。

2 町は、条例、規則等の整備や体系化に努めなければならない。

(法令遵守及び公益通報)

第29条 町は、常に法令を遵守し、町政運営の透明性の向上を図るとともに、町政を公正に運営しなければならない。

2 町長等は、町政運営上の違法行為又は公益の損失を防止するため、職員の公益通報に関する制度について必要な措置を講じるよう努めなければならない。

(説明責任及び応答責任)

第30条 町長等は、町政運営における政策の立案、実施、評価及び見直しの各段階における過程及び結果について、町民に分かりやすく説明しなければならない。

2 町長等は、町民からの町政に関する意見、要望、提案、苦情等があったときは、速やかに事実関係を調査し、誠実に対応しなければならない。

(広報・広聴、パブリックコメント)

第31条 町は、重要な条例の制定並びに計画の策定及び改廃を町議会に提案し、又は決定しようとするときは、これらの案を公表し、パブリックコメントを行うなど、町民からの意見及び提案を広く求めなければならない。

2 町は、広報・広聴を実施するに当たっては、多様な手段をとるとともに、分かりやすく表現するものとする。

(行政手続)

第32条 町長等は、町民の権利及び利益を保護するため、別に条例で定めるところにより、処分、行政指導、法令等に基づく届出に関する手続について、透明性の向上を図り、公正かつ迅速に行わなければならない。

(行政評価)

第33条 町長等は、効率的かつ効果的な町政運営を進めるため、町の政策等について行政評価を実施し、その結果について、町民に分かりやすく公表するとともに、町民が意見を述べる機会を設けるよう努めなければならない。

2 町長等は、前項の評価結果について、総合計画の進行管理並びに予算、事業及び組織の改善等に反映させるよう努めなければならない。

3 町長等は、行政評価を行うに当たっては、必要に応じて町民及び専門家等の意見を聴く機会を設けることができる。

(外部監査)

第34条 町長等は、行財政運営の効率化及び健全化を進めるために、外部監査制度その他の監査に関する制度の整備を図るよう努めなければならない。

(危機管理)

第35条 町は、町民が安全かつ安心して暮らせるよう、別に条例で定めるところにより、災害発生等の不測の事態に備え、総合的かつ機動的な危機管理体制を整備しなければならない。

2 町は、前項の危機管理体制を強化するため、町民及び関係機関と連携し、それぞれの役割と責務を認識しつつ、協力を図らなければならない。

3 町民は、災害発生等においては、自らを守る努力をするとともに、その役割の重要性を認識し、相互に協力するよう努めなければならない。

4 町民及び町は、発災後速やかに関係機関と連携し、復旧及び復興対策を推進しなければならない。

第9章 住民投票

(住民投票)

第36条 町長は、町政に関する重要事項について、広く町民の意思を確認する必要があると認めたときは、町議会の議決を経て、住民投票を実施することができる。

2 町長は、有権者がその総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から住民投票に関する条例の制定の請求があり、当該条例が議決されたときはこれを実施しなければならない。

3 住民投票に付すことができる案件、投票に参加できる者の資格その他の住民投票の実施に必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に条例で定める。

4 町は、住民投票の結果を尊重しなければならない。

第10章 連携

(広域連携)

第37条 町は、国、県及び他の市町村等と対等の関係にあることを踏まえ、自立した自治体運営を目指すとともに、共通の課題又は広域的課題を解決するため、これらと相互に連携し、協力するよう努めるものとする。

2 町民及び町は、他の市町村等の住民との交流や連携の取組みを通じ、互いに学び合い、町外の人々の知恵や意見をまちづくりに活用するよう努めるものとする。

第11章 条例の位置付け、見直し

(条例の位置付け)

第38条 この条例は、広陵町における自治の基本規範であり、町民及び町は、この条例を遵守しなければならない。

2 町は、他の条例、規則等の制定及び改廃並びに法令等の運用に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければならない。

(条例の見直し)

第39条 町長は、この条例を適切に運用するとともに、社会情勢の変化等に対応するため、この条例の施行後5年を超えない期間ごとに検討を行うものとする。

2 町長は、前項の規定による検討を行うに当たっては、多様な手段を用いて町民の意見を聴くとともに、これを反映させなければならない。

3 町長は、前2項の規定による検討の結果を踏まえ、この条例及びこの条例に基づく制度等の見直しが適当であると判断したときは、必要な措置を講じるものとする。

(運用)

第40条 町長は、この条例の実効性を高め、町民及び町による推進体制を確保するため、広陵町自治基本条例推進会議(以下「推進会議」という。)を設置する。

2 推進会議は、この条例に基づく他の条例規則の点検、運用の検証評価を行い、その結果を踏まえ、必要な見直しを町長に求めることができる。

3 前2項に規定するもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が定める。

この条例は、令和3年6月1日から施行する。

広陵町自治基本条例

令和3年5月27日 条例第1号

(令和3年6月1日施行)

体系情報
第1編 則/第1章
沿革情報
令和3年5月27日 条例第1号