○広陵町環境保全条例
平成4年12月22日
条例第14号
目次
前文
第1章 総則
第1節 通則(第1条・第2条)
第2節 町長の責務(第3条~第9条)
第3節 事業者の責務(第10条~第15条)
第4節 町民の責務(第16条~第18条)
第2章 生活環境の保全及び育成
第1節 清潔の保持(第19条~第23条)
第2節 廃棄物の処理(第24条~第26条)
第3節 騒音の防止(第27条~第29条)
第4節 屋外作業等の制限(第30条~第32条)
第5節 あき地の管理等(第33条~第35条)
第6節 ため池等の管理等(第36条・第37条)
第7節 愛がん動物の管理(第38条・第39条)
第8節 交通安全の確保(第40条・第41条)
第3章 自然環境の保全及び育成
第1節 緑化の推進(第42条~第45条)
第2節 動植物の保護(第46条)
第3節 自然環境の利用(第47条・第48条)
第4章 文化歴史環境の保全(第49条・第50条)
第5章 景観の保全及び育成(第51条・第52条)
第6章 環境保全審議会(第53条~第61条)
第7章 補則(第62条~第66条)
附則
前文
われわれ広陵町民は、緑豊かな自然のもとで、生活を営んできた。
この自然環境は、われわれの健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、そこに生まれ、そこに住み、そこを利用するすべての人がその恵沢を享受するとともに、将来の町民に自然環境を継承することができるよう、適正に守っていかなければならない大切なものである。
しかし、世界的に地球の環境保護を訴える声が高まっているなか、近年の急激な都市化や環境破壊は、生活環境を著しく悪化させるばかりでなく、人間と自然との調和を崩し、地域社会における連帯感の欠如、人間阻害等の諸問題を引き起こしかねない。
そこで、われわれは、町民、事業者、町の連携の自覚のもと、総意を結集し、このような環境破壊を防止し、人にやさしい、地球にやさしい環境づくりを基調とした真に豊かな自然と良好な環境を保全し、かつ、創造していかなければならないという基本理念のもと、ここに広陵町環境保全条例を制定する。
第1章 総則
第1節 通則
(目的)
第1条 この条例は、すべての町民が健康で文化的な生活を営むうえにおいて、良好な環境が極めて重要であることにかんがみ、町、町民及び事業者の責務を明らかにし、並びに良好な環境を確保する施策の基本となる事項を定め、その施策の総合的な推進を図り、もって現在及び将来の町民の良好な環境を確保することを目的とする。
(1) 良好な環境 町民が、健康で文化的な生活を営むことができる生活環境、自然環境、文化歴史環境及び景観をいう。
(2) 生活環境 人の生活に係る環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその育成環境を含むものをいう。
(3) 自然環境 自然の生態系をめぐる土地、大気、水及び動植物等を一体として総合的にとらえたものをいう。
(4) 文化歴史環境 本町の文化的歴史的遺産及びこれらをとりまく環境をいう。
(5) 事業者 本町において事業活動を営む者をいう。
第2節 町長の責務
(基本的責務)
第3条 町長は、良好な環境の確保に関する総合的及び基本的な施策を策定し、これを実施しなければならない。
(環境施設の整備)
第4条 町長は、良好な環境を確保するため、公園、緑地、道路、下水道等の環境施設の総合的整備に努めなければならない。
(公害の防止)
第5条 町長は、公害関係法令又は奈良県生活環境保全条例(平成8年12月奈良県条例第8号)(以下「公害関係法令等」という。)に定めるところにより、公害(環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する公害をいう。以下同じ。)の防止に関する施策を講じるよう努めなければならない。
(町民意識の啓発)
第6条 町長は、良好な環境の確保に関する知識の普及を図り、良好な環境づくりに関する町民の意識の高揚を図らなければならない。
(地域活動の育成)
第7条 町長は、町民がそれぞれの地域において、良好な環境を確保するために行う活動を育成し、地域の良好な環境づくりが図られるように努めなければならない。
(財政的措置)
第8条 町長は、良好な環境を確保する施策の推進につき、必要な財政的措置を講じるよう努めなければならない。
(助成措置)
第9条 町長は、良好な環境を確保するため積極的に活動する団体に対し、その自主的活動を促進するため、別に定めるところにより、必要な助成を行うことができる。
第3節 事業者の責務
(基本的責務)
第10条 事業者は、その事業活動により良好な環境を損なうことのないよう常に配慮し、その責任と負担において、必要な対策及び措置を講じなければならない。
(管理及び作業状況の把握)
第11条 事業者は、良好な環境を確保するため、常に施設等を適正に管理するとともに、その作業状況を把握しなければならない。
(規制基準等の遵守)
第12条 事業者は、公害関係法令等に定める規制基準等を超える公害の原因となる物質等を発生させ、排出し、又は飛散させてはならない。
(努力義務)
第13条 事業者は、法令及びこの条例に違反しない場合であっても、良好な環境の確保に最大限努力しなければならない。
(紛争の処理)
第14条 事業者は、その事業活動により良好な環境の確保に関する紛争が生じたときは、誠意をもってその解決にあたらなければならない。
(協力義務)
第15条 事業者は、町長その他の行政機関等が実施する良好な環境の確保に関する施策に積極的に協力しなければならない。
第4節 町民の責務
(基本的責務)
第16条 町民は、常に良好な環境の確保に努めるとともに、良好な環境を破壊し、公害を発生させる行為をしてはならない。
(土地、建物等の管理)
第17条 本町において土地、建物その他の物件を所有し、占有し、又は管理する者(以下「所有者等」という。)は、当該物件を適正に管理し、良好な環境の確保に努めなければならない。
(協力義務)
第18条 町民は、町長その他の行政機関等が実施する良好な環境の確保に関する施策に積極的に協力しなければならない。
第2章 生活環境の保全及び育成
第1節 清潔の保持
(公共の場所の清潔保持)
第19条 何人も、公園、広場、道路、河川等の公共の場所を汚損してはならない。
(公共の場所の管理者の義務)
第20条 前条に規定する公共の場所の管理者は、その管理する場所を清潔に保持するための必要な措置を講じなければならない。
(印刷物等配布者の清掃義務)
第21条 公園、広場、道路その他の公共の場所において、印刷物等を公衆に配布し、又は配布させた者は、当該場所及びその周辺に印刷物等が散乱した場合には、速やかに清掃し、その印刷物等を適正に処理しなければならない。
(工事施工者の義務)
第22条 土木工事、建築工事その他の工事を行う者は、その工事に関し、土砂、廃材、資材等が道路その他の公共の場所及びその周辺に飛散し、脱落し、又は堆積しないよう必要な措置を講じなければならない。
第2節 廃棄物の処理
(廃棄物の処理)
第24条 何人も、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)の再生処理等を行うことにより、その減量に努めなければならない。
2 事業者は、事業活動に伴って生じる廃棄物を、その責任と負担において、適正に処理しなければならない。
(投棄の禁止)
第25条 何人も、公共の場所、山林、あき地等に廃棄物を不法に投棄してはならない。
(勧告及び命令)
第26条 町長は、前条の規定に違反して廃棄物を投棄した者に対して、必要な措置を執るよう勧告し、又は命じることができる。
第3節 騒音の防止
(静穏の保持)
第27条 何人も、近隣の静穏を害するような騒音を発生させないよう努めなければならない。
2 事業者は、その事業活動により近隣の静穏を害する騒音を発生させるおそれがあるときは、施設の位置、作業の方法等について必要な措置を講じなければならない。
(拡声機の使用制限)
第28条 商業宣伝を目的として拡声機を使用する者は、周辺の生活環境を損なわないよう必要な措置を講じなければならない。
第4節 屋外作業等の制限
(屋外作業の制限)
第30条 何人も、作業の性質上やむを得ない場合を除き、屋外で公害を発生させる作業をしてはならない。
(屋外燃焼行為の制限)
第31条 何人も、住居が集合している地域及びその周辺地域において、燃焼に伴いばい煙、悪臭又は有毒ガスを発生するおそれのあるゴム、硫黄、ピッチ、合成樹脂、廃油及び廃液等を多量に屋外において燃焼させてはならない。ただし、焼却炉の使用等適切な処理の方法により、燃焼させる場合は、この限りでない。
(指導、勧告及び命令)
第32条 町長は、前2条の規定に違反して屋外において作業が行われていること又は燃焼行為が行われていることにより、周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは、当該違反行為を行っている者に対して、必要な措置を執るよう指導し、若しくは勧告し、又は命じることができる。
第5節 あき地の管理等
(あき地の管理)
第33条 住宅周辺のあき地の所有者等は、そのあき地に繁茂する雑草、枯草又は投棄された廃棄物を除去するとともに、廃棄物の不法投棄を防止する措置を講じる等、周辺の生活環境を損なわないように適正に管理しなければならない。
(あき地の利用に伴う管理)
第34条 あき地の所有者等は、あき地を物置場、駐車場等として利用し、又は利用させているときは、当該場所に置かれた物により周辺住民に危害を与え、又は著しい迷惑を及ぼさないよう適正に管理しなければならない。
(指導、勧告及び命令)
第35条 町長は、あき地の所有者等が前2条に定めるあき地の管理を怠ることにより、周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは、当該所有者等に対して、必要な措置を執るよう指導し、若しくは勧告し、又は命じることができる。
第6節 ため池等の管理等
(ため池等の管理)
第36条 ため池及び野井戸(以下「ため池等」という。)の所有者等は、転落事故等が発生することのないよう必要な措置を講じ、常に適正な管理に努めなければならない。
(指導、勧告及び命令)
第37条 町長は、ため池等が危険であると認めるときは、当該所有者等に対し、必要な措置を執るよう指導し、若しくは勧告し、又は命じることができる。
第7節 愛がん動物の管理
(飼犬等の飼育)
第38条 飼犬、飼猫その他の愛がん動物(以下「飼犬等」という。)の飼育者は、その飼犬等の形態、性状等に応じ、悪臭の発散の防止、病害虫の発生の予防等、衛生上の適正な管理に努めるとともに、人に危害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないよう適切に飼育しなければならない。
2 飼犬等の飼育者は、その飼育を行わなくなったとき、又は死亡したときは、飼育者の責任において適切に措置しなければならない。
(指導及び勧告)
第39条 町長は、前条の規定に違反し、人の生命、身体若しくは周辺の生活環境を著しく害し、又は害するおそれがあると認めるときは、当該飼育者に対して、飼育方法の改善その他必要な措置を執るよう指導し、又は勧告することができる。
第8節 交通安全の確保
(運転者等の遵守義務)
第40条 車両(道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第8号に規定するものをいう。)の運転者又は保有者は、法令を遵守するとともに、通行上の障害又は危険を生じさせないようにしなければならない。
(放置自転車等の措置)
第41条 町長は、関係行政機関の協力を求め、路上放置自転車等の状況の把握に努めるとともに、当該自転車等の撤去等適切な措置を講じ、交通安全の確保に努めなければならない。
第3章 自然環境の保全及び育成
第1節 緑化の推進
(緑化計画)
第42条 町長は、緑化の推進を図るため、総合的な緑化計画を策定しなければならない。
(公共施設の緑化)
第43条 町長は、学校、公園、広場、道路及びその他の公共の施設等における緑化計画を定め、緑化の推進に努めなければならない。
(事業所の緑化)
第44条 事業者は、事業所の敷地内に緑地を確保し、樹木を植栽する等積極的に緑化の推進に努めなければならない。
(居住地等の緑化)
第45条 何人も、その所有し、占有し、又は管理する居住地等に樹木を植栽する等積極的に緑化の推進に努めなければならない。
第2節 動植物の保護
(動植物の保護)
第46条 何人も、自然に生息する動物又は生育する植物を、その生息し、又は生育する自然環境とともに保護するよう努めなければならない。
第3節 自然環境の利用
(町長の措置)
第47条 町長は、自然環境の適正な利用を図るため、必要な措置を講じることができる。
(適正な利用)
第48条 何人も、自然の保護及び育成に関する認識を深めるとともに、自然環境を利用するにあたっては、自然環境を破壊し、又は汚損することのないよう適正な利用に努めなければならない。
第4章 文化歴史環境の保全
(文化財の保護)
第49条 町長及び教育委員会は、文化財(文化財保護法(昭和25年法律第214号)第2条第1項第1号から第5号に規定するものをいう。以下同じ。)の保護に関し、関係機関との協議のうえ必要な施策を講じなければならない。
2 何人も、文化財の保護に関する法令を遵守するとともに、文化財の保護に関する施策及び指導に従い、文化財を消滅し、破壊し、又は損傷する等その価値を減少させることのないようにし、すすんでその保護に努めなければならない。
(平17条例21・一部改正)
(文化歴史環境の保全)
第50条 何人も、文化財の所在する地域について、郷土の文化的歴史的風致の個性及び特質を失わないよう、その文化歴史環境の保全に努めなければならない。
第5章 景観の保全及び育成
(自然景観の保全及び育成)
第51条 何人も、緑豊かな本町の自然景観の特質を自覚し、その保全及び育成に努めなければならない。
(屋外広告物)
第52条 何人も、屋外において広告物その他のこれに類するものを表示し、又は設置するにあたっては、屋外広告物法(昭和24年法律第189号)及び奈良県屋外広告物条例(昭和35年4月奈良県条例第17号)を遵守するとともに、良好な景観又は風致を阻害し、公衆に対し危害を与えないよう努めなければならない。
(平17条例21・一部改正)
第6章 環境保全審議会
(環境保全審議会の設置)
第53条 この条例によりその権限に属する事項を調査審議させ、及び町長の諮問に応じ良好な環境の確保に関する基本的事項及び重要事項について調査、研究及び審議をさせるため、広陵町環境保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織)
第54条 審議会は、15名以内の委員をもって組織する。
2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから町長が委嘱する。
(1) 町議会議員 3名
(2) 学識経験者 4名
(3) 関係行政機関の職員 4名
(4) その他町長が認めた者 4名
(任期)
第55条 委員の任期は2年とし、再任をすることを妨げない。
2 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(審議会の会長等)
第56条 審議会に会長1名及び副会長2名を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、審議会を代表し、会務を総理し、審議会の議長を努める。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき、又は会長が欠けたときは、副会長がその職務を代理する。ただし、会長の職務を代理する順位は、予め会長が定める。
(会議)
第57条 審議会の会議は、会長が招集する。
2 審議会の会議は、過半数の委員が出席しなければ開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(専門部会)
第58条 会長が必要と認めるときは、審議会に専門事項を分掌させるため、専門部会(以下「部会」という。)を置くことができる。
2 部会に部会長を置き、会長の指名する委員をもってあてる。
3 部会に属する委員は、会長が指名する。
(関係者の出席)
第59条 会長は、必要があると認めるときは、関係者を会議に出席させ、説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(建議)
第60条 審議会は、審議した事項及びその他必要な事項並びにこれに関する意見を取りまとめて町長に具申するものとする。
(庶務)
第61条 審議会の庶務は、町長の定める機関において所掌する。
第7章 補則
(立入調査)
第62条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に調査のために現場に立ち入らせ、説明若しくは報告を求め、又は関係者に対し、必要な指示若しくは指導をさせることができる。
2 前項の規定に基づく立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 関係者は、第1項に基づく調査に協力しなければならない。
4 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪調査のために認められたものと解釈してはならない。
(意見の聴取)
第64条 町長は、前条の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に対し、相当の期間をおいて予告したうえ、公開による意見の聴取を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 意見の聴取に際しては、当該公表に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を呈示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
4 町長は、当該公表に係る者が第1項に基づく意見の聴取に正当な理由なく出席しない場合には、当該公表に係る者が意見の聴取に出席したものとみなすことができる。
(表彰)
第65条 町長は、良好な環境の保全及び育成に関し、顕著な功績があった者を表彰することができる。
附則
(施行期日)
この条例は、平成5年4月1日から施行する。
附則(平成9年条例第13号)
(施行期日)
この条例は、平成9年4月1日から施行する。
附則(平成12年条例第8号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成13年4月1日から施行する。
附則(平成17年条例第21号)
この条例は、平成17年4月1日から施行する。